2025年度、対人援助学会第17回年次大会は、
「対人援助する・されるを超えて~地に足付けて、皆と生きる~」
をテーマに、大阪市で開催します。
今年は特に関西万博にまつわる話題の尽きない大阪市。しかし、大阪はもともと多文化が交差する町であり、独特の歴史を持つ彩り豊かな地域です。この地に生きる市井の人々の生活の営みが、この地域の歴史を作ってきました。
2020年、国は社会福祉法を改正し、重層的支援体制整備事業を創設しました。この事業は人々の生活問題が複雑化・複合化し、それまでの考え方では十分にサポート出来ない状態になってきた現状に対して、一方で、「人と人とのつながりや参加の機会を生み育む多様な活動を通して、これまでの共同体とは異なる新たな縁が生まれて」いることに着目し、従来には見られなかった豊かな関係性を支援に活かそうとしたことから始まっています。
しかし、本当に、従来にはそのような関係性は見られなかったのでしょうか。住民同士の助け合い、といった十把一絡げの言葉を使い、素人の活動であるとして、長い間、重要視されてこなかった可能性はないでしょうか。
あるいは人々が他者との繋がりを強く求め、それゆえに作り上げた自分のためのつながりが思わぬ形で他の誰かの支えや助けになるという現象が、各地で起きているのかもしれません。
さらには、それまで支援や援助などの言葉からは縁遠く生きてきた人々が「もう国や公に頼っていられない、まずは自分で出来ることをしよう!」と、立ち上がらざるを得ないほどに、今地域の中に課題があふれているともいえます。
いずれにせよ、様々な地域でいろんな背景を持つ人が「この地で、みんなと一緒に、幸せに生きていくために」と、積極的に活動をする姿が多く見られます。そしてそれらの活動は近年、国が新たに活用を考えるほどに注目を集めているのです。この人々の力について考えることは、対人援助の専門職とされる人々に、今一度、「地に足付けて、皆と生きる」というあり方、生き方そのものを突き付けるものになると考えます。
特に今回の会場付近は、あらゆる町が都市化により人々の紐帯を弱体化させていく中で、強く長く繋がり合う文化を保ってきた歴史があり、そこに新たな活動主体が混在するという、不思議に元気な「こてこての大阪」です。
この地で、“ふつうのおっちゃんおばちゃん”や、“ふつうのにいちゃんねえちゃん”そして“そこいらにおる子ども”が持つ力、その土地で生きている市井の人々の力に今一度着目する機会をもちませんか。
奇しくも、開催日程は関西万博閉会直前となりました。
遠方からお越しの方におかれましては、早めの宿泊予約をお勧めいたします。
10月11日(土) 午前: |
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10月12日(日) 午前: | 〈記念講演〉
「援助?いえ、好奇心ですー釜ヶ崎のココルーム/釜ヶ崎芸術大学の日々人生劇場」
☆講演:上田 假奈代(うえだ かなよ)さん (NPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム ゲストハウスとカフェと庭 釜ヶ崎芸術大学)代表理事、詩人、詩業家) ☆聞き手:山口 洋典(やまぐち ひろのり)さん(対人援助学会会員、立命館大学共通教育推進機構教授、社会心理学者) ☆司会:村本 邦子(むらもと くにこ)さん(対人援助学会理事、立命館大学) 「援助する・される」という関係性を軽やかに乗り越え、「好奇心」を原動力に人と出会い直す実践とは——。大阪・釜ヶ崎で「表現とであいの場」をつくってきた詩人・上田假奈代さんは2003年からは「喫茶店のふりをした」インフォショップ、2012年からは「釜ヶ崎芸術大学」、2016年にはゲストハウスと、暮らしと学びの場をひらき続けてきました。 多彩な活動を続ける中でも「お金があんまりなくても、なんとか生き延びるために」という願いから、上田さんは「みんなでまかないご飯」を一環して続けてこられました。今回、上田さんが「ことばを人生の味方にしよう」と掲げて「詩の学校」を開催してきた大阪市天王寺区の浄土宗寺院「應典院」などで活動を共にしてきた山口洋典さん(立命館大学)を聞き手に、「援助」ではなく「共に在ること」のリアルに迫ります。 司会は村本邦子さん(立命館大学)。第17回大会の副題「地に足付けて、皆と生きる」とはどういうことか、「闘う詩人」の実践から紐解きます。
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