2026年度、対人援助学会第18回年次大会は、
「対人援助学を拡張する」
をテーマに、京都市で開催します。
対人援助学は、これまでの学問領域を超えて、広く「人を助ける」という実践的行為について、その営みを当事者の決定を軸に過不足なく行うための方法を考える新しい領域です。本学会はこれまで17回の大会を開催し、連携の基盤づくりから出発して、地域社会との協働、社会的危機への応答、対人援助の持続可能性の検討、さらには「援助する・される」という関係そのものの再考へと議論を発展させてきました。そこでは、対人援助を特定の専門領域に閉じるのではなく、自己・他者・モノ(環境や制度を含む)とのかかわりのなかで生成される営みとして捉え直す視点が共有されてきたといえます。
近年、社会課題が複雑化・多様化する中で、従来の支援制度や研究者・専門職の枠組みだけでは対応しきれない問題が増えています。しかしその一方で、既存の枠組みを越える実践やテクノロジーの応用、多様な主体を巻き込んだ協働などが新たな支援の力として注目されています。こうした動きは、専門的援助の方法論と交差しながら、援助の意味や価値そのものを拡張しつつあります。
本大会では、「対人援助学を拡張する」という視点から、次のような問いを共有し、対人援助学の理論と実践をさらに深化させることを目指します。
秋の京都は紅葉の季節と重なり、宿泊施設が混み合うことが予想されます。遠方からお越しの方におかれましては、早めの宿泊予約をお勧めいたします。京都市内に限らず大阪府や滋賀県の宿泊施設もご検討いただくと、比較的ご予約が取りやすい場合がございます(JR新大阪駅からJR山科駅までは新快速で約30分です)。
第18回年次大会 大会準備委員長 乾明紀
| 11月21日(土) | |
| 12:00~ | 受付・ポスター掲示(会期中常設) 団士郎 木陰の物語 漫画展(会期中常設) |
| 13:00~13:15 | 開会式 |
| 13:15~ |
基調対談 信田さよ子×サトウタツヤ 「対人援助を拡張した先駆者に聴く」 「対人援助」は、どのようにすれば、もっと広く、もっと自由に拓いていけるのでしょうか。 今回の基調対談では、それぞれの領域で、既存の「当たり前」を問い直し、 新たな実践や研究の可能性を切り拓いてきた二人の先駆者、信田さよ子氏とサトウタツヤ氏をお迎えします。 お二人は、カウンセリングや心理臨床、文化心理学、質的研究など、それぞれ異なる領域を歩みながら、 「これまでのやり方では捉えきれないもの」に向き合い、新しい視点や方法を切り拓いてこられました。 今回の対談では、まずお二人に、それぞれの歩みを振り返りながら、 「なぜ、それを始めたのか」、「何に違和感を覚えたのか」、「何を問い直し、何を越えようとしてきたのか」をご自身の言葉で語っていただきます。 そして後半は、二人の「先駆者」が直接語り合います。 先駆者たちの歩みと対話に耳を傾けながら、参加される皆さん自身の実践や研究を、いつもとは少し違った角度から見つめ直す。 そして、これからの「対人援助」の可能性をともに考える。そんな時間になればと思います。 【対談者紹介】
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信田さよ子 略歴
1946年生まれ。お茶の水女子大学大学院修士課程修了後、駒木野病院勤務等を経て1995年原宿カウンセリングセンター設立、2021年5月で所長を引退し現在は顧問。さまざまな依存症の本人とその家族、DV、子ども虐待、ハラスメントや性暴力の加害者・被害者などのカウンセリングを行ってきた。現在、日本公認心理師協会相談役、日本臨床心理士会理事、NPO法人RRP研究会代表理事などをつとめる。 著書に「アディクションアプローチ」「DVと虐待」「母が重くてたまらない」「アディクション臨床論」「家族と国家は共謀する」など多数。最新著は「溺れながら生きる〜依存とケアのあいだで」文藝春秋。 ![]()
サトウタツヤ 略歴
1962年生まれ。博士(文学 東北大学)。立命館大学副学長/総合心理学部教授。文化心理学、質的研究の方法論、心理学史に関する研究を展開している。Jaan Valsiner教授( 現オールボー大学 )らと開発した「複線径路等至性アプローチ(TEA)」は、人の経験や発達過程を多様な経路の中で捉える質的研究法として広く用いられている。現在、日本質的心理学会副理事長、『TEAと質的探究』編集委員長を務める。著書に『IQを問う』『TEMではじめる質的研究』『質的研究法マッピング』『臨床心理学史』など多数。 |
| 14:55〜15:40 | ポスターセッションⅠ(質疑応答時間)募集中 |
| 15:50~17:20 | 企画ワークショップⅠ 募集終了 【分科会Ⅰ-1】 精神障がいを有するがん患者の意思決定支援における複合的困難と対人援助実践の可能性 ○ 主発表者: 荒井春生(岩手保健医療大学看護学部) ○ 企画概要: 本ワークショップでは、精神障がいを有する患者ががんを合併した際に生じる意思決定支援の困難と、対人援助実践における支援の可能性について検討する。精神障がい者のがん罹患は決して稀ではないが、精神科領域と身体科領域の制度的・文化的分断の中で、支援の課題は十分に共有されてこなかった。とくに、精神症状による認知・判断能力の変動、抗精神病薬とがん治療薬との相互作用、家族関係の希薄化、社会的孤立、経済的困難などが重層的に存在することで、患者本人の意思確認や治療選択支援は複雑化しやすい。また、精神科看護師はがん看護に関する知識や経験が限定される一方、身体科医療者は精神障がい特有のコミュニケーションや支援過程に戸惑いを抱えることも多く、支援の断絶が生じやすい現状がある。 本ワークショップでは、これまで発表者が行ってきた文献検討、探索的研究、臨床実践の省察を踏まえ、①精神障がいを有するがん患者の意思決定支援における構造的課題、②精神科看護師が抱える困難と学習ニーズ、③家族関係や支援ネットワークの脆弱性が患者の自己決定に与える影響、これら3点を中心に整理する。その上で、単なる医療情報提供としての意思決定支援ではなく、「関係性を支える援助」という視点から、多職種連携や伴走型支援のあり方について参加者と対話的に検討したい。 さらに、精神障がいを有する患者に対する ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の適用可能性や限界についても議論したい。一般的な意思決定支援モデルでは十分に捉えきれない「揺れ続ける意思」や「関係性の中で形成される意思」をどのように支えるかは、対人援助職に共通する重要な課題である。 精神障がいとがん医療の狭間で支援から取り残されやすい患者に対し、対人援助学の視点からどのような実践知を構築できるのかを議論し、今後の研究課題と実践モデルの可能性を共有する場としたい。 【分科会Ⅰ-2】 ユースワーカー養成の成果と課題-インタビュー調査を通したユースワーカー養成プログラムの検討- ○ 主発表者: 石山裕菜(京都橘大学) ○ 連名発表者: 竹久 輝顕(京都市ユースサービス協会・立命館大学大学院) 冨田千裕(京都ユースサービス協会) 水野篤夫(ユースワーカー協議会) ○ 企画概要: 若者を巡る社会問題は,不登校や引きこもり,ヤングケアラー,自殺など多様化・複雑化している。このような状況において,若者に寄り添う専門的な対人援助職としてユースワーカーへの期待が高まっている。一方で,日本においてユースワーカーを体系的に養成する教育機関および専門機関は限られており,専門職養成のあり方について十分な検討がなされているとは言い難い。 立命館大学大学院では2006年より「ユースワーカー養成プログラム(以下プログラム)」を実施し,若者支援に携わる人材の育成を行ってきた。プログラム開始当初は主にイギリス型のユースワークの考え方や概論,養成課程を参照しながら取り組んできたが,北欧型やドイツ型の青少年援助専門職の紹介が日本で進んだこと,ヨーロッパ評議会によるユースワーク概念の提示が行われたことなどから,日本型のユースワークおよびユースワーカー観の提示が必要となってきた。以上より本ワークショップでは,同プログラムの実践を事例として取りあげ,ユースワーカー養成の成果と課題について検討することを目的とする。 具体的には,まず若者を取り巻く現状と課題を概観し,ユースワーカーの役割や専門性について整理する。続いて,立命館大学大学院におけるユースワーカー養成プログラムの概要,教育内容,養成上の特徴について紹介する。そのうえで,本プログラム修了生6名を対象として実施した半構造化面接の分析結果を報告する。インタビューから,プログラムを通じて獲得した学びや実践への影響,ユースワーカー観などについての語りを紹介し,これを通してユースワーカー養成が実践者にもたらす効果と今後の発展に向けた課題を明らかにする。 最後に,若者支援に関して参加者と意見交換を行う。対人援助専門職の養成や実践教育のあり方という観点からも議論を深め,今後のユースワーカー養成の可能性と方向性について参加者とともに考える機会としたい。 【分科会Ⅰ-3】 対人援助のための非暴力コミュニケーション(nonviolence communication: NVC)-「感情の奥にある『ニーズ』を体験する」 ○ 主発表者: 廣瀬眞理子(関西学院大学文学部) ○ 連名発表者: シルバーマン恵子(NVC国際センター) 及川真理(コンパッションガーデン〜ただいま〜) ○ 企画概要: NVC(nonviolence communication:非暴力コミュニケーション)は、「どちらが正しいか」という善悪の判断から離れ、「双方のニーズを満たすには何ができるか」を探る対話の方法である。相手の言葉を傾聴し、感情と、その奥にあるニーズを推測して確認する。安心、尊重、理解、つながり、選択など、人々が持つニーズは普遍的なものだ。相手のニーズに心が動かされ、それが自分の中にもあると気づくと、相手の見え方や自分の内面に変化が生まれ、双方を大切にする具体的な行動を考えられるようになる。 NVCは、パートナー、家族、学校、職場など、身近な関係における対話の質と相互理解を深めるために用いられてきた。また、パレスチナ/イスラエルをはじめ、紛争や分断のある地域での対話や調停にも活用されてきた。なぜNVCは、意見や立場の違いをこえた対話を可能にするのか。本企画では、その鍵となる「ニーズ」に注目する。昨年度に引き続き、はじめにNVCの実践を報告する。廣瀬は大学生を対象としたセルフケアの実践、及川はコミュニティにおける緩やかなつながりを育む実践を紹介する。シルバーマンは、CNVC認定トレーナーとして、NVCの基礎から対立の調停までを伝えてきた経験を報告する。 後半の体験型ワークショップでは、「傾聴」のもう一つの層であるニーズを実際に聴き取る。言葉や主張の奥にあるニーズを推測し、相手に確かめ、そのニーズに心を向けるプロセスを参加者同士で体験する。NVCの経験は問わない。対人援助、教育、地域活動、日常の人間関係に生かせる対話の可能性を、ともに探りたい。 萌芽的研究・実践セッション(発表と対話)Ⅰ 募集中 |
| 17:20~ | 情報交換会 募集中 |
| 11月22日(日) 9:00~ |
受付 |
| 9:30~11:00 |
理事会企画 講師:桂花團治 「噺家が戦争を伝えるということ」(仮) ※テーマは現時点の仮題です。本企画に関する情報は今後公開予定です。 ![]() 【講師紹介】
桂花團治 略歴小学時代にいじめを漫才で克服し、「笑い」の効力を知る。故二代目桂春蝶の元に入門、「桂蝶六」を名乗る。古典落語に心血を注ぐ一方、声のコンプレックスを解消するため大蔵流狂言方の元で20年間狂言を学び、今ではその声を活かした演目に定評がある。 また、自身の経験や悩みから導きだしたコミュニケーション論が評判を呼び、「大阪で一番多く教壇に立つ落語家」といわれている。 2015年、70年ぶりの名跡復活となる「三代目 桂花團治」襲名。2021年からは、大阪空襲で亡くなった二代目花團治に想いを馳せ「伝戦落語(=戦争を伝えるための落語)」の制作にも精力的に取り組んでいる。現在、大阪青山大学健康科学部こども教育学科客員教授、大阪府立桃谷高等学校定時制夜間部特別非常勤も務める。 大会委員会企画 対人援助学勉強会 複線径路等至性アプローチ(TEA)入門:援助の場における〈選択〉と〈径路〉を捉える 〇講師: サトウタツヤ氏(対人援助学会常任理事/立命館大学副学長/総合心理学部教授) 〇趣旨: 対人援助学は、個人が抱える現在の問題を、多様な環境との相互作用の中で生きる生活者の課題として捉えることを前提としています。 そうした課題は、その人がたどってきた時間の中で、周囲の人や制度とのかかわりを通して形づくられてきたものでもあります。 複線径路等至性アプローチ(TEA)は、人の経験を非可逆的な時間のなかの複数の径路として描き、分岐点やそこに働く力を可視化する質的研究法です。 本勉強会では、開発者のひとりであるサトウタツヤ氏からTEAの考え方と主要概念を学び、 「対人援助学を拡張する」という大会テーマに照らして、援助の実践や研究への活かし方を考えます。 〇内容: 講義(60分):TEAの基本的な考え方、主要概念(等至点、分岐点、社会的方向づけ/社会的助勢など)、対人援助の研究・実践での活用例 質疑・対話(30分) 〇対象: TEAにはじめて触れる方から、研究や実践への活用を検討している方まで |
| 11:10~11:55 | ポスターセッションⅡ(質疑応答) 募集中 |
| 11:55~12:55 | 昼休憩(理事会開催) |
| 12:55~14:25 | 企画ワークショップⅡ 募集中 【分科会Ⅱ-1】 支援者の葛藤の理解とその支援 ○ 主発表者: 弦間亮(京都府家庭支援総合センター) ○ 連名発表者: 鈴木美枝子(東日本大震災・原子力災害伝承館) 田中千尋(帝京大学福岡医療技術学部) ○ 指定討論者: サトウタツヤ(立命館大学総合心理学部教授) ○ 企画概要: 近年、対人援助の現場では支援者支援の重要性が高まっている。支援者は利用者やクライエントを支える立場にある一方で、実践の中で様々な葛藤に直面している。その葛藤は、個人の資質や経験だけでなく、組織文化、制度、社会状況、さらには災害などの外的要因とも結びつき、多層的に生じることが少なくない。こうした複雑な葛藤を理解し、適切な支援につなげていくためには、支援者の語りを丁寧に聞き取り、その背景にある価値や揺れを深く理解する視点が求められる。 また、支援者の葛藤は領域固有の実践文脈に影響されつつも、倫理的葛藤や二次受傷といった対人援助に共通する課題とも関わることが指摘されている。そのため、個別領域に閉じることなく、領域横断的な視点から支援者支援を検討することが求められている。こうした社会的・学術的関心の高まりを背景として、2026年5月には日本支援者支援学会が設立されるなど、支援者支援に関する議論は新たな広がりを見せている。 本ワークショップでは、児童福祉、災害支援、看護教育という異なる領域における支援者支援の実践と研究を手がかりに、支援者の葛藤への理解と支援のあり方について検討する。まず弦間より企画趣旨を説明した後、弦間亮「児童福祉司への支援」、鈴木美枝子「被災地の保育士・教員への支援」、田中千尋「看護教員への支援」という3つの話題提供を行う。続いて、サトウタツヤによる指定討論を通して3つの話題提供を横断的に整理し、支援者支援を考えるうえで重要となる視点について議論を深める。 さらに、参加者によるミニグループワークを実施し、各領域の知見を持ち寄りながら、支援者の葛藤をどのように理解し、支援につなげていくことができるのかについて意見交換を行う。本ワークショップを通じて、支援者支援を個別領域の課題としてだけではなく、対人援助に共通する課題として捉え直し、多様な実践領域の知見を往還しながら新たな視点を得る機会としたい。 【分科会Ⅱ-2】 募集中 【分科会Ⅱ-3】 募集中 萌芽的研究・実践セッション(発表と対話)Ⅱ 募集中 |
| 14:35~15:35 | 全体会(総会) |
企画ワークショップを以下のとおり募集します。
本セッションの発表者を以下のとおり募集します。
ポスターセッション発表者を以下のとおり募集します。
抄録の書式説明 ![]() |
抄録テンプレート ![]() |